中国伝統文化
《三字経》

【中国伝統文化】 《三字経》   
 最終回 中国語で聞く【三字経】  --物語:塵も積もれば山となる-武訓の夢--
2012/4/2

原文と発音練習:
勤 有 功,  戲 無 益。
Qín yǒu gōng xì wú yì

戒 之 哉,  宜 勉 力。
Jiè zhī zāi yí miǎn lì

ネイティヴの発音:


[原文解釈]勤勉であれば功績があり、戯れれば何の益もない。戒め、力を尽くし努力するがよい。人として生まれ、社会に役立つ人材になるには熱心に勉強して努力しなければならないという意味。

注釈:
1.戲:遊ぶ。戯れる。
2.戒:警戒する。戒める。
3.哉:(感嘆を表す)・・・かな。

 武訓(ぶくん、1838-1896年)は清代末期の教育者であり、近代中国における教育の先駆者でもある。彼は堂邑県(現在の冠県)柳林鎮武庄の出身で、非常に貧乏な家に生まれ、幼い頃から苦労を重ねた。元の名前は武家の七番目に生まれた子供という意味で武七、後に清の朝廷が彼の功績を称えて「訓」という名前を下賜し、彼は武訓と呼ばれた。

 武七は3歳のときに父親を亡くし、7歳で母親を亡くした後、乞食をして生活していた。しかし、読み書きもできない文盲だった彼の心の奥には、ずっと不思議な夢が宿っていた。それは、自分で資金を集めて義学(無料の学校)を作り、貧しい子供たちが学校に通えるようにするという壮大な夢だった。

 武七は自分の夢を実現するため、21歳の頃から活動を始め、各地を彷徨いながら金を集めた。彼はあちこちで見知らぬ家の雑用をする傍ら、暇さえあれば家々をまわり、物乞いをした。物乞いをして少しでもよい食べ物や使えそうな服が手に入ると、それを売って金に変えた。彼自身はいつもみすぼらしい服を着て、毎日粗末なパンを二つ食べるだけで済ませた。

 彼は時折、各地をさすらう旅芸人のように自分の体を錐で刺したり、刀で頭を打ち、大きな釜を持ち上げたりする芸を披露しては、観客から金を集めた。このように集めた金がある程度貯まると、彼はその金を商人に貸して利子を取り、金を増やした。

 こうして徐々に貯まった金で、将来の学校運営に必要な経費を稼ぐための土地を購入した。長い歳月が経ち、武七は相当の金を集めることができた。しかし、彼は多くの人の侮蔑と蔑視を受けながらも、依然として物乞いを続け、山東、河北、河南、江蘇省などをまわった。

 このようにして30年が過ぎた光緒14年(1888年)、武七は自分が集めた資金を投入し、堂邑県柳林鎮の東門の外に『崇賢義塾』を開校した。ついに不可能だと思われた自分の大きな夢を実現させたのだ。彼はその後、優秀な教師を求めて評判のいい進士や挙人(きょじん)を訪ね、土下座して義塾の教師になるよう説得した。また、生徒を集めるために、一軒一軒貧しい家を回り、親に土下座して大事な子弟を自分の学校に通わせるよう頼んだ。このようにして約50人の生徒を集めてきたが、一銭の学費も取らなかった。学校運営に必要な経費はすべて武七が所有している学校の土地の収入で賄った。

 以来、毎年新学期が始まる時、武七はすべての教師に叩頭して礼を尽くし、生徒たちにも、毎回礼をする儀式を数年間も続けた。

 武七自身は文盲であったが、教師をとても敬い、神を祀るよりも丁重だった。毎回教師らが食事をする時、彼は門の外に立って頭を下げ、静かに食べ物を運び、教師たちが食事を終えた後、残った食べ物で自分の腹を満たした。

 彼は常日頃、義塾のあちこちを見まわり熱心に教える教師を見ると、その前に叩頭し、感謝の礼をし、時に熱心でない教師を見ると、やはりその前に叩頭し、これからは一生懸命教えるようにと願った。悪ふざけをしたり、うわべだけの勉強をしたりする生徒を見ると、彼の家に行って土下座し、涙を流しながら真剣に勉強に励むことを勧めた。このように自分のすべてを犠牲にして真心で接する彼の姿に、教える側も学ぶ側も皆努力するようになり、学問を成し遂げる人物が徐々に増えていった。

 その後、武七は隣近所の寺院や官庁、郷紳らの助けを得て1890年に館陶県(今の河北省邯鄲市)楊二庄に2番目の義塾を開校し、1896年には臨清(今の臨清県)に「御史巷義塾」(現在の臨清実験小学)を設立した。武七のこのような行いは、徐々に周辺の地域にも知られるようになり、後には清の朝廷にまで伝えられた。

 清の朝廷は彼の行いを高く評価し、特別に「訓」という名前を授けた。光緒22年(1896年)4月23日、武訓は臨清の「御史巷義塾」で学童らの朗々たる読書の声を聞きながら、笑顔を浮かべたままこの世を去った。享年59歳だった。

 彼の遺体は崇賢義塾の東側に葬られ、葬儀には堂邑・館陶・臨清の官人・郷紳らをはじめ1万人以上の群衆が参列した。

 中国の歴史上、乞食の身分で正史に記載された人物は、おそらく彼が初めてであろう。武訓は一生、一心に学校運営のことだけを考え、生涯独身を通した。

 貧しい家の子供たちが無料で勉強できる学校を作るために、自分のすべてを捧げた武訓の一生は、その後多くの人々の共感を得た。 1950年には彼の一生を描いた『武訓伝』(ぶくんでん)という映画が作られ、中国全域で大きな人気を集めた。

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これで、三字経の連載を終わらせていただきます。愛読して下さった読者の皆様に感謝いたします。


(翻訳編集・蓮成)


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