中国伝統文化
《三字経》

【中国伝統文化】 《三字経》   
 第八十四回 中国語で聞く【三字経】  --物語:唐の神童・李泌--
2012/1/19

原文と発音練習:
彼 穎 悟,  人 稱 奇。
Bǐ yǐng wù rén chēng qí

爾 幼 學,  當 效 之。
ěr yòu xué dāng xiào zhī

ネイティヴの発音:


[原文解釈]この二人の聡明さは不思議だと人々は称えた。少年よ、幼くして学ぶ者は当然、見習わなければならない。

注釈:
1.穎:ずば抜ける。賢い
2.悟:悟る。知る
3.爾:汝、貴方 貴方たち 
4.效:真似する。模倣する

唐の神童・李泌

 前回は北斉の時の神童・祖瑩について語ったが、今回の三字経の物語は、唐の時の神童・李泌(りひ)である。

 学ぶことが何よりも好きだった李泌は幼い時から聡明で、その名声は広く伝わった。彼がわずか七歳の時、噂を聞きつけた(※)唐玄宗(とうげんそう)は、直接李泌を呼びだした。

 李泌が朝廷で皇帝と謁見(えっけん)する時、玄宗は張説という臣下と碁を打っていた。唐は詩の全盛期で、当時の知識人たちは頻繁に詩を作り、文章の実力を評価した。

 玄宗は「方圓動静」(四角いものと丸いもの、動と静)という詩題(しだい)を定め、二人に詩を作らせた。

 すると先に、張説が次のような詩を詠んだ。

 「方若棋局、圓若棋子、動若棋生、静若棋死」(四角いのはまるで碁盤の如く、丸いのはまるで碁石の如く、動はまるで囲碁が生きているようで、静はまるで囲碁が死んでいるようだ)

 これに対し、李泌も即座に詩を作って答えた。

 「方若行義、圓若用智、動若聘才、静若得意」(四角いのは、まるで義理を行うようで、丸いのは、まるで知恵を使うようだ、動はまるで人材を招聘しているようで、静はまるで意味を悟ったようだ)

 この二首の詩を比較してみると、張説が作った詩が碁の表面に現れているものを描写しているとすれば、李泌が作った詩は、碁の持つ内面世界を表現している。隣で李泌の回答を聞いた玄宗と臣下らは、李泌の才能を高く評価し、彼を宮中に招き入れ、皇太子と一緒に勉強させた。

 成長するに従って、李泌は学問の重要性を悟り、絶えず奮起して数多くの本を読んだ。彼は特に「老子」と「周易」などを好み、たくさん読んだ。後に、彼は宰相の位に上りつめ、玄宗、肅宗、代宗と徳宗四代にわたり唐の皇帝の寵愛と信頼を受けた。

 しかし、李泌の本性は道を好み、素朴な飲食を通し独身で過ごした。賑やかなところを嫌った彼は、長い間山の中に居住していた。彼は遠い未来を見通す慧眼(えげん)を持ち、奸臣たちの計略に巻き込まれることを避け、また自分の意見を正正堂々と述べるために、官職に縛られなかった。唐の歴史上、最大の危機であった「安史の乱」の時は直接粛宗を訪ね、難を平定する計略を提案した。彼は国に大きな手柄を立てたにもかかわらず、官職や富貴を求めず、ただ黙々と皇帝に仕えた。

 もし、「安史の乱」(※)のような危機の状況で李泌の知恵と鋭い洞察力がなければ、唐の歴史は我々が知っているよりもはるかに短くなっていたかもしれない。

(※)玄宗(げんそう、唐の第6代皇帝。在位:712-756。諱は隆基。治世の前半は開元の治と呼ばれる善政で唐の絶頂期を迎えたが、後半は楊貴妃を寵愛し、安史の乱の原因となった)

(※)安史の乱(あんしのらん): 唐の中期、安禄山(あんろくざん)・史思明が起こした反乱(755- 763)。玄宗を退位させたが、ウイグルの援助を得た唐により鎮圧された。この後、節度使による地方分権化が進んだ。


(翻訳編集・蓮成)


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